平成22年5月6日
片言自在 No.17
荒波に 日々愛(え)みかけて・・・
初代学校長 伊藤 昭彦
愛媛県西予市三瓶町。
この地の人々と私たち新校開設準備スタッフとの交流については、すでに「片言自在7」で少しご紹介しました。
私は、新校準備に当たっていた平成20年12月2日に、法政大学教授の宮城まり子先生のご紹介で、立正大学教授の柿谷正期先生(日本選択理論心理学会長・NPO法人日本リアリティセラピー協会理事長)にお会いすることができました。
柿谷先生と3時間じっくりと意見交換をさせていただいた後、「新校に入ってくる生徒を迎える教職員にとって、学ぶ必要のある方法論は選択理論だ」と直感した私は、柿谷先生の多大なご協力の下、平成21年5月8日~11日の4日間、開校準備に当たっていた教員スタッフ15名全員で、リアリティセラピー集中基礎講座を受講する機会を得ました。
受講後、私たちは話し合いを重ね、5月22日の時点で、みんなで力を合わせ「日本初のクオリティ・スクールをめざそう!」と確認し合うことができました。
この瞬間、「選択理論」は学校づくりのための私たちの「戦略」として位置づけられました。
その4日間の集中講座の間に、何度か柿谷先生が語られた土地の名が、愛媛県の三瓶町でした。
三瓶町立三瓶中学校には、養護教諭の井上千代先生という方がいらっしゃいます。この方は「選択理論」を学び、やはりその効果と影響力の大きさに魅了され、私たちと同じく「クオリティ・スクール」を創ろうと、もう10年にもわたって、かの地で選択理論の普及啓発に努めている方です。
学びの広がりは、学校関係者に留まらず、町内外の人々を巻き込み、今や延べ200人もの方々が講座を受講され、また、選択理論を学ぶ機会として、地域の学校、病院、職場で開催した講演会は120回を超え、各種講演会への参加者を含めると、その数は数千人にものぼっているそうです。
井上さんたち日本選択理論心理学会西予支部の人たちが中心となり、三瓶町自体を「クオリティ・コミュニティ」にしようという活動に繋がっているとのことでした。
昨年の9月2日と3日。私を含むスタッフ6人は「三瓶町に行けば、きっと勇気とエネルギーを分けてもらえるだろう」という期待を胸に、休みを取って三瓶町を訪問したのです。
そして三瓶町の人たちは、私たちを温かく迎えてくださり、私たちが期待していた以上のパワーと夢と希望を与えてくださいました。
その時の感動は、およそ言葉で表すことは難しいのですが、当時記した文章をご覧いただくことで、少しでも「思い」を伝えることができたらと思います。
《三瓶町訪問を記して》
『訪問初日の最終プログラムである、貴重な研修付きの「歓迎会」を終え、部屋に戻ったとき、大きな感動のうちにも私の中で次のような一つの『?』が湧いた。
「三瓶町の方々、また西予支部の人たちは、なぜ、穏やかな中にも、強く、熱く、かつまた回りの人に対して温かく生きることができるのだろうか」と。
勿論、その答えは「選択理論」を人生のベースにしている、ということに尽きるのだが、「なぜ、それがこのように自然に鮮やかにできるのだろうか」と。
静かな、しかし心地よい昂揚感の中で眠りにつき、目覚めた翌朝、ホテルのイオン水風呂に首まで浸かり、窓いっぱいに拡がる三瓶の海を眺めながら、
「鏡面の海とは聞いていたけれど、本当に凪いだ静かな穏やかな海だなぁ。
でも待てよ、この先の、ここからは見えない沖は、当然、流れの速い波が逆巻いているのだろうに。その波がこの三瓶の入り江に入って来たときには、荒らぶる波もこのように凪いでしまう・・・。」
そんなことをぼんやりと思いながら、改めて凪いだ海とそれを取り囲む丘を見やったとき、「そうか!なるほど」と気づき、その思いを詩に書き留めてみた。

荒波~外的コントロール、7つの致命的な習慣、試練、プレッシャー・・・等。
愛み~愛媛の人たちの内的コントロール、7つの身につけたい習慣に基づく温かな、そして人に対してやさしく接することのできる真の強さ・・・等。
鏡面~鏡のように波静かな三瓶の入り海。
* どんな困難に対しても、常に選択理論により、ほほえみをもって生きることで、自他ともに穏やかな、温かい「和みの境地」に至ることができる。
この拙い詩を、愛媛の人たちにお礼として置いていこうと思った。
私たちを温かく迎え入れていただき、やさしく、励ましをもって包み込んでくれた、三瓶町の方々、そして西予支部の人たちに感謝の気持ちを込めて。』
「荒波に 日々愛(え)みかけて 鏡面(かがみ)のごと」
以来、この詩は私の“座右の銘”となりました。
以 上
